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プロッター(大判プリンター)の選び方
プロッター・大判プリンターは、ポスターやのぼり、建築図面・設計図など、さまざまな用途・媒体に対して大型印字を行う際に活躍します。しかし、いろいろなタイプのプロッター・大判プリンターが販売されており、メーカーによって金額や性能が異なるため、機器選定の難しい製品とも言われています。
こちらの記事では、プロッター・大判プリンターを選ぶ際に重要となる『5つのポイント』やメーカー別の特徴について紹介しています。プロッター・大判プリンターを選定する際の参考にしてください。
一般的にはあまり馴染みのない機器なので「プロッター・大判プリンターって何?」と思われる方は、先に以下の記事をご覧ください。
▼関連記事:【プロッターとは?】プロッターの機能と主な使われ方

【5つ】プロッターを選ぶ際のチェックポイント
オフィスにプロッターを導入する際には、まず、以下の5つの点を確認しましょう。
- 用途
- 用紙サイズ
- 設置スペース
- ランニングコスト
- サポート(保守)体制
これらの『5つのポイント』について、1つずつ解説していきます。
1、用途
プロッター・大判プリンターを使用して「何を印刷したいのか?」や「印刷物をどのようにカッティングしたいのか?」などで、選択する機器が変わってきます。
一般的に、建築用図面などはペンプロッター(カッティングプロッター)を使用しますが、ポスター印刷やのれんなどの作成には大判プリンター(ラスタプロッター)を選ぶと良いでしょう。
また、カッティングに特化したプロッターなどもあるため、予算などに応じた選び方をおすすめします。
2、用紙サイズ
A2サイズ以上を印刷したい場合はプロッター・大判プリンターでしか印刷ができません。
しかし、プロッター・大判プリンターであっても、最大用紙サイズは決まっており、A0サイズまで印刷可能な機器もあれば、A1までしか印刷できない機器もあります。
どのサイズまで印刷するのか?は、用途を重視しながら、慎重に決めておいた方が良いでしょう。
3、設置スペース
プロッター・大判プリンターは通常の業務用プリンターなどよりも筐体サイズが大きく、ロール紙をセットするためのスタンドなども必要です。
また、業務用プリンターやコピー機などに比べて、メンテナンス用のスペースも確保しなければならないため、広めの設置スペースを用意しておく必要があります。
事前にどれくらいのスペースを確保できるか?を確認しておきましょう。
4、ランニングコスト
通常の業務用プリンターやコピー機と同様に、本体代金だけでなくランニングコストが掛かります。
一般的には、以下の項目がランニングコストとして発生するため、導入前におおよその計算をしておきましょう。また、メーカーや機器によっては、搭載可能なインクの数が異なり、それによってランニングコストが大きく変わります。
機器選定の際には、本体代とプラスして5年間のトータルコストを比較すると良いでしょう。
▼ランニングコストの主な内訳
プロッター(大判プリンター)のランニングコストについて、5つの項目に分けてご説明します。
- インク代:インク1セットの金額と出力可能枚数から印刷1枚あたりにかかるコストを試算できます。
- 用紙代:ロール紙の長さから印刷したい用紙サイズに換算して何枚可能か?を計算し、1枚あたりのコストを算出します。
- メンテナンス品:「メンテナンスタンク」と呼ばれる廃インクを貯める装置と「プリントヘッド」が主なメンテナンス品です。印刷する量にもよりますが、メンテナンスタンクは数か月単位での交換が目安となっています。また、プリントヘッドは3~5年程度での交換が目安とされています。
- 電気代:待機時の消費電力が低い機種を選ぶことで電気代を抑えられます。
5、サポート(保守)体制
プロッター・大判プリンターを使用して大量のPOP印刷を行う場合は、印刷量に比例して機器の不具合が発生する可能性が高まります。
通常の業務用プリンターやコピー機などは複数台設置している企業も多いため、仮に1台が故障しても、他の機器で印刷することが可能ですが、プロッターを複数台導入している企業は多くありません。
機器のダウンタイムが売り上げに直結する印刷業などでは、プロッター・大判プリンターの故障は死活問題です。このような事態を避けるためにも、各メーカーの保守内容などをしっかりと見極め、自社に最適なメーカー製品を選ぶようにしましょう。
【比較】プロッターを販売しているメーカー別の特徴
プロッター・大判プリンターを販売しているメーカーは複数ありますが、なかでもプリンターの製造と販売を行っているメーカーは、色彩表現などの技術的ノウハウが優れており、信頼性も高いことから人気を集めています。
実際、プロッターなどのグラフィック市場では、エプソン、キヤノン、HPの3社が圧倒的に強く、それにMIMAKI(ミマキエンジニアリング)やMUTOH(武藤工業)、Roland(ローランド)、OKI(旧SII/旧セイコーインスツル)などが続きます。
こちらではエプソン、キヤノン、HPの大手3メーカーについて、特徴をまじえながら紹介します。
エプソンの大判プリンター
出典:EPSON
エプソンの大判プリンターは、グラフィック市場での導入実績が多く、精細な印字が可能です。特に、色彩へのこだわりが強いメーカーとして知られており、通常出力が難しいとされているマゼンタよりも、赤色や朱色に近い「金赤(きんあか)」の表現も可能としています。
そのため、作画段階のイメージに近い出力が可能です。また、同社の大判プリンターは、色の再現性を高めるために、4色機から12色機など幅広いニーズに対応できるラインアップをそろえています。
キャノンの大判プリンター
出典:キヤノン
エプソンと同様に、プリンター界での導入シェアが高いキャノンも、プロッター・大判プリンターを販売しています。キヤノンの製品は、高性能ながらもコンパクトな筐体や静音性に優れた設計となっており、製図などのテクニカル系から特に人気があります。
グラフィックなどのポスターやPOPはエプソン、製図などのメカニカル系はキヤノンと、棲み分けもできており、用途によって選ぶと良いでしょう。
また、大型のコピー機や業務用プリンターを手掛けていることもあって、キヤノンはエプソンに比べると保守拠点が多く、サポート体制では非常に安心できるメーカーと言えそうです。
HPの大判プリンター
出典:HP
世界的なプリンターメーカーであるHPのプロッターは、ラインアップが非常に豊富で、エプソンやキヤノンなどの国内メーカーに比べると本体価格が安いことが特徴です。
印字の品質面も高く、印字速度も問題がないため、最初の一台としてHPを選択しても良いでしょう。ただし、先に紹介した国内メーカー2社に比べるとサポート面がやや弱く、保守対応は基本的にコールの翌日になってしまいます。
まとめ
今回の記事ではプロッター・大判プリンターについて、選び方やメーカー別の特徴を紹介しました。記事の内容について簡単にまとめます。
- プロッターや大判プリンタを選ぶ際に押さえておきたいポイントは「用途」「用紙サイズ」「設置スペース」「ランニングコスト」「サポート」の5点
- 「何を印刷したいのか?」や「印刷物をどのようにカッティングしたいのか?」などの「用途」と導入目的をはっきりとさせることが重要
- プロッター・大判プリンターは機器によって対応可能な「用紙サイズ」が異なる。どの程度の大きさの印字を行いたいのか?を明確にすること
- 通常の業務用プリンターやコピー機に比べると「設置スペース」が必要となる。保守スペースなども考慮して、どれくらいのスペースを確保できるか?を事前に確認しておく
- 本体代金以外に、ラニングコストが掛かる。本体代とインク代から5年間使用時のトータルコストを算出し、比較してみると良い
- メーカーによってサポート内容が異なる。出力物が成果物(納品物)となる業界で使用する場合は、保守・サポート力のあるメーカー製品を選ぶと良い
- 大判プリンターの業界は、エプソン、キヤノン、HPをはじめとしたプリンターメーカーのシェア率が高い
- エプソン製の大判プリンターは色のこだわりが強く、POPやポスターなどのグラフィカル市場に向いている
- キヤノンは高精細・高品質な印字が可能で、さらにコンパクト・静音性に優れている。設計などのメカニカル市場に向いている
- HPは品質が良くコスト面でも優れている。小型モデルから大型モデルまで幅広いラインアップを持っているが、サポート力はエプソン、キヤノンに比べてやや劣る