オフィス向けインターネット回線の間違いない選び方

オフィス向けインターネット回線の間違いない選び方

2021年4月20日
インターネット

オフィス向けインターネット回線の選び方

 

オフィス用インターネット回線

 

会社設立や開業の際に、必要なコト・モノとして事業の要である「インターネット回線の契約」が挙げられます。

現在は、どこのオフィスでもインターネットは必要不可欠で、その際に多くの方が「インターネット回線は法人用のプランにするべきか?」で悩むと聞きます。

結論から先に記載すると、開業したばかりのオフィスや個人事業主の場合は、法人向けのインターネット回線を選ぶ(契約する)必要はありません。

「法人用」と「個人用」の、どちらのプランであってもインターネットに繋げられる点では同じで、通信速度にも違いがありません。

それでは、「法人用」と「個人用」には、どのような違いがあるのでしょうか?

 

法人用インターネット回線と個人用インターネット回線のプランの違い

法人用 個人用
1,固定IPアドレスの付与数 複数 1個
2,セキュリティ 強固 普通
3,帯域保証・帯域優先 あり なし
4,サポートの優先度 高い 低い
5,領収書の発行 あり なし

 

今回の記事では「法人用(オフィス向け)」と「個人用(家庭用)」のプランの違いについて、主に法人用プランにスポットを当てながら、法人用プランのメリット・デメリットをお伝えします。

なぜ、開業したばかりのオフィスや個人事業主は、法人用のプランを選ぶ必要がないのか?にも言及しています。

なお、こちらの記事で説明するインターネット回線の「法人用(オフィス向け)」とは、各インターネットプロバイダー(ISP)の用意する「法人向け」などの記載に準拠したプランです。

一方の「個人向け」とは、テレビCMなどでも目にするインターネット回線のことを指しています。

固定IPアドレスの付与数とは

法人用(オフィス向け)と個人用(家庭用)では、固定IPアドレスの取得可能数が異なります。

はじめに「そもそもIPアドレスとは何か?」と「法人用で固定IPを複数持つことによるメリット」の2点について解説します。

IPアドレスとは?

 

IPアドレス

 

IPアドレスとは「インターネットに接続する機器に割り当てられる住所」です。

日頃、私たちが無意識にインターネットに接続している際も、インターネットの世界では「どこからインターネットに接続されて、どこに情報を送ればよいのか」を、IPアドレスで判別しています。

刑事もののドラマのシーンや実際の犯罪捜査でIPアドレスが使用される場合も、基本的には「接続された機器(住所)を特定している」という認識で問題ありません。

なお、IPアドレスには「IPv4方式」と「IPv6方式」の2種類があり、近年は後者の「IPv6」への移行が推奨されています。

もともと主流だった「IPv4」は「XXX.XXX.XXX.XXX」のように0〜255の「数字4組」で表記されており、数字の組み合わせは有限(約43億通り)です。

しかし、組み合わせが有限であることと、世界的なインターネットの普及によって、数字が枯渇し始めてしまい、インターネットの速度低下の原因にもなっています。

そこで登場したのが現在、推奨されている「IPv6方式」です。

IPv6は4桁の「英数字8組」を組み合わせることで成立します。理論上は「43億✕43億✕43億✕43億」までIPアドレスを管理できますが、事実上、数字の組み合わせは無制限化したに等しいと言われています。

 

▼IPv4とIPv6

  • 「IPv4」=「XXX.XXX.XXX.XXX」(約43億通り)
  • 「IPv6」=「0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000」(43億の4乗通り:事実上無制限)

 

画期的な「IPv6」ですが、このアドレスを利用するには、前提として以下の3点が必要で、まだまだ普及には時間が掛かる見込みです。

しかし、これからインターネット環境を整える場合は、確実に押さえておきたいポイントです(大手プロバイダーなどは個人・法人向け問わず順次対応中)。

 

▼IPv6を利用できる条件

  1. インターネット回線自体がIPv6に対応している
  2. インターネットプロバイダー(ISP)がIPv6接続を提供している
  3. オフィスや家庭内に設置するルーターもIPv6に対応している

動的(可変)と固定(不変)IPアドレスの違い

 

冒頭で「固定IPアドレス」と記載しましたが、「固定(不変)」があれは、その反対に「動的(可変)」もあります。両者の違いを図示化すると以下のようになります。

動的IPアドレスと固定IPアドレスの違い

出典:TIME & SPACE by KDDI

 

主に、家庭用Wi-Fiや公衆Wi-Fiなどのインターネット回線は「動的(可変)タイプ」が採用されています。

動的IPアドレスは、インターネットに接続する度に、プロバイダー(ISP)から新規のIPアドレスが自動的に割り振られます。一般的には、普段スマホやPCなどを利用する時に割り当てられるタイプが、こちらの動的タイプとなっており、一定時間が経過する or インターネット接続を切断する度にアドレス番号が変更されています。

このように、動的タイプの場合は、プロバイダーからIPアドレスが自動的に割り振られているため、特別な接続設定などは不要です。また、接続毎に番号が変動するため、ユーザーが特定されるリスクも低いと言われています(逆に言えば、特定が難しいタイプです)。

一方、法人用(企業向け)には、通常「固定(不変)のIPアドレス」が採用されています。

この固定IPアドレスは、常に同じIPアドレスで接続しなくてはならないケースに対応したもので、たとえば、企業内のシステムには管理者が許可した社員(または機器)しか通信できないように設定することが多いと思いますが、社員(または機器)が社内のシステムに接続する度に、IPアドレスが変わってしまっては「どこの誰からのアクセスなのか?」を企業側で特定することができなくなってしまい、セキュリティ面でも問題が生じます。

そのような点を踏まえて、法人用には、固定IPアドレスが必要とされています。

固定IPアドレスを複数持てるメリットとは?

 

インターネット

 

IPアドレスが「住所」であること、オフィス向けは「固定IPアドレスを複数持てる」ことを踏まえたうえで、次に固定IPアドレスを複数持つことによるメリットについて説明します。

大きなメリットは以下の2点です。

 

  1. 自社のサーバーで「イントラネット(組織内ネットワーク)」の管理や自社の公式サイトの運用が可能
  2. セキュリティに強い

 

1つ目のメリットは「自社のサーバーを固定IPアドレスで運用することが可能」な点で、こちらはイントラネットなどのシステムや企業のサイトを運営するうえで重要なポイントです。

たとえば、サーバー側のIPアドレスが変わってしまうと、誰もサーバーにアクセスすることができなくなってしまい、それによって企業の公式サイトも表示されなくなってしまうため、固定のIPアドレスが必要です。

また、自社内のサーバーで企業サイトなどの運用が可能なため、外部のサーバーを使って運用する場合と比べて、サーバーダウンなどの外的要因によるダウンタイム(不具合で使えない時間)を小さくすることができます。

大企業などは、企業サイトが常に表示されている必要があるため、固定IPによる自社サーバーでの運用は必須と言えるでしょう。

続いて、2つ目のセキュリティについて詳しく説明します。

オフィス向けインターネットはセキュリティが強固

 

セキュリティ

 

IPアドレスを固定化することで、自社サーバーによる運用が可能です。

これは、企業内のインターネット環境(イントラネット)をほぼ全て自社内にとどめられるという点でもセキュリティ性を向上させてくれます。

例えば、企業サイトなどを一般のブログと同様に「レンタルサーバー(外部サーバー)」で運用すると、費用などは安く抑えられますが、社内情報を外部に送信するリスクが生じます。

ましてや、イントラネットなど顧客情報や社員の個人情報、企業の機密情報を含む重要データを、外部のサーバーに送信することは、いくら信用のできる「レンタルサーバー」でも不安があります。

以上の点から、近年はオフィス向けインターネットを契約し、自前のサーバーで全て運用する企業が増えています。

オフィス向けインターネットの帯域保証・帯域優先とは

「帯域保証」とは、契約ユーザーに対して「一定の通信速度を確実に保証しますよ」と約束するサービスで、「帯域優先」とは、契約ユーザーに「優先的に通信速度を確保していますよ」というサービスです。

法人向けインターネット回線のプランによっては、約10~30Mbpsの帯域保証や帯域優先が設けられており、時間帯や回線の混雑状況に関わらず、安定したデーター通信が可能です。

企業の公式サイトやイントラネットが「帯域保証」「帯域優先」の付いた法人向けプランで運用する方が良いのも、このサービスによって得られる安定性が重要だからです。

一方で、個人向けのインターネットプランは「最大限努力して速度通信を提供・保証します」というベストエフォート型です。

家庭向けインターネットが、時間帯や回線状況によっては、10Mbps以下の低速になってしまうのも、インターネットプロバイダーの「最大限の努力」を超えてしまっているからと言えます。

以上の観点から、常に安定した通信速度が必須の企業は法人向けのインターネット回線を契約する方が良いでしょう。

オフィス向けインターネットはサポートの優先度が高い

 

サポート

 

企業向けのプランは、インターネット回線に限らず、多くの場合は「法人部門」が対応しています。

契約者である企業のダウンタイムを減らし、顧客満足度を高めるために、一般ユーザーとは異なる優先的な対応(サポート力)が求められるためです。

例えば、携帯電話の契約でも、一般の契約とは別に「法人契約」が存在します。企業内の携帯電話をすべて法人契約として受注しているため、サポート窓口は契約企業個別のものであるなど、優先したサポートを受けられることが特長であり、大きなメリットでもあります。

オフィス向けインターネットは領収書が発行される

法人向けのプランの場合は、インターネット料金を経費計上するために企業向けの領収書の発行が可能です。

対する個人向けのプランでは、経費計上するための領収書が発行されることはありません。

ただし、ほとんどのプロバイダーでは、請求書や料金明細が発行されるため、それらを領収書として代替可能な場合は、個人向けプランでも問題ないでしょう。

オフィス向けインターネット回線のデメリットは?

 

コスト

 

インターネットの速度が速く、サポートも充実している企業向けのインターネット回線プランですが、唯一にして最大のデメリットとしてコストが高いことが挙げられます。

ある程度の企業規模を想定したプランとなっているため「料金が高い」「個人向けの割引特典が受けられない」など、個人向けと比べて、コスト面でのメリットはありません。

しかし、一般的な個人向けの回線に比べて、通信速度の優先や個別対応(サポート)を強化しているなど、コストに見合うだけの付加価値があり、それらの方が業務を効率的に進めるためには欠かせない要素と言えるでしょう。

なお、開業したばかりのオフィスや個人事業主の場合、過度なセキュリティを自前で構築する必要はなく、複数の固定IPアドレスは不要です。

そのため、設立直後のオフィスや個人事業主は、オフィス向けのプランにこだわる必要はなく、コストも判断材料に加えて良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、「法人用(オフィス向け)」と「個人用(家庭用)」のインターネット回線のプランの違いについて紹介しました。

また、法人用のプランのデメリットにも言及し、開業したばかりのオフィスや個人事業主は、法人用のインターネット回線を選ぶ必要がないと結論付けました。

最後に、まとめます。

  • 法人向けプラン・個人向けプランとも、通信速度は基本的に変わらない
  • 法人向けプランは固定IPアドレスを複数取得できる
  • 法人向けプランはセキュリティ面を強化可能
  • 法人向けプランは「帯域保証」「帯域優先」である
  • 法人向けプランはサポートも優先的に受けられるため、ダウンタイムが少ない
  • 法人向けプランは経費処理が可能なように領収書が発行される
  • 法人向けプランのデメリットは、料金が割高であること
  • 開業したばかりの小規模オフィスや個人事業主であれば、複数の固定IPアドレスは不要。個人向けのインターネット回線で十分