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会社設立までの期間とスケジュール
「会社設立の準備から、事業開始までの期間を知りたい」
「会社設立は、どのような手順で行えばいいんだろう…
会社設立の際に、このような悩みを抱えている方は少なくありません。実際に、会社設立では用意をしなければならない書類が多く、時間とお金が掛かります。
結論を先にお伝えすれば、会社設立のための期間を短縮するためには「事前の書類をどれだけ早く用意できるか?」がカギです。目安として早ければ3日、書類の用意が遅れると1ヵ月以上も掛かることがあります。
また、会社設立の費用は節約することも可能です。それと同時に、設立から事業開始までの期間を早める方法があります。
ここでは、時間やコストを抑える会社形態とはどのようなものなのか?なども交えて、会社設立の期間やスケジュールについてお伝えします。
<この記事では以下のことが分かります>
- 会社設立から事業開始できるまでの期間
- 事業開始までのスケジュール
- 設立費用の節約と、時短方法
【会社設立までの期間】事業を開始できるまで
法務局で登記の申請を行った日が、会社の「設立日」です。
しかし、申請が通らない限り、会社を設立したことにはなりません。登記が完了して、ようやく事業を開始することができます。
一例として、東京都を挙げると、東京の各法務局における登記完了までの期間は平均1~2週間とされています。早ければ1週間以内に完了する所もあるので、管轄の法務局へ確認してみましょう。
それに加えて、定款などの必要書類を制作する時間も必要です。
最初にもお伝えしましたが、早く事業を開始できるか?は、事前に用意する必要書類をどれだけ早く用意できるか?で決まります。
続いて、登記完了までのスケジュールを確認しましょう。
【会社設立までの期間】スケジュール
実際に会社設立までの、おおまかな手順を確認してみましょう。

ここで作成する書類は会社の心臓とも言えるので、妥協したり適当に作成することのないように注意しましょう。
①事前準備
登記申請を行う前に、どのような会社を設立するのか?を具体的に決めていく必要があります。
この準備をしないと定款を作成できないため、必ずチェックしましょう。
- 商号
- 事業目的
- 発起人(出資者)の決定
- 資本金の金額
- 事業所の所在地
この基本的な事項をどれだけ早く決められるか?が、会社設立までの時短に大きく関わります。
②定款の作成・承認
定款(ていかん)とは、その会社の絶対的な「ルール」や「憲法」と言えるものです。これは、法律に違反しない範囲であれば、自由に規定を定めることが可能です。
記載事項として「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類に分けられ、このうち「絶対的記載事項」を記載しなければ定款として認められません。
・その会社の事業目的
・商号
・中心となる事業所や本店の所在地(市区町村まで)
・発起人の氏名(または名称)及び住所
・会社設立時の資本金(出資される価額または最低額)
・発行可能株式総数
公証役場の「公証人」に正式な定款であることを承認された場合のみ、その定款は効力を発揮します。本店の所在地を管理している公証役場へ、作成した定款を提出しましょう。
なお、株式会社はこの手続きが必要ですが「合同会社」「合資会社」「合名会社」は、定款の承認が必要ありません。
- 定款3通(公証役場の保管分、登記申請時の提出分、会社保管分)
- 承認手数料5万円
- 収入印紙4万円分(コンビニでも購入できます)
- 謄本の手数料約2000円
- 印鑑証明書(発行3ヵ月以内の全発起人分)
③資本金の振り込み
登記が未完了の会社は、まだ法的に存在していないので「会社名義の口座」を作ることができません。そのため、資本金の振り込みは基本的に発起人の口座(複数いる場合は代表者の口座)へ振り込みます。
なお、会社設立が完了すると、法人口座を開設することができます。その際、発起人の口座から資本金を移動させましょう。
また、登記の際には「振込証明証」が必要になるので、以下のコピーも用意しておくと、登記申請がスムーズに行えます。
・通帳の表紙
・通帳の裏表紙
・口座名義人、銀行支店名、口座番号が記載されているページ
・入金の記帳がされているページ
④法務局へ登記申請
登記申請では、11種類の書類を法務局に提出します。
また、法務省のホームページより必要書類をダウンロードできるのでチェックしておきましょう。
- 登記申請証
- 定款
- 登録免許税納付用台紙
- 発起人の決定書
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任証明書
- 監督役の就任証明書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書
- 資本金の振込証明書
- 「登記すべき事項」の作成と提出
なお、登記前に法人印鑑を作成しておくと、法人口座を開設する際にスムーズです。
法人印鑑についてはこちらの記事ご覧ください。

⑤各行政へ手続き
登記後は各種保険などの手続きを行います。
必要な手続きは、どのようなものがあるか事前にチェックしておきましょう(詳細はこちらの記事もご覧ください)。

- 各種保険手続き
- 源泉徴収税関係の書類
- 法人設立届
- 就業規則
【会社設立までの期間】「合同会社」という選択肢
実は、合同会社の方が株式会社よりも早く会社を設立でき、設立時のコストも安くなります。
合同会社とは「資本金の出資者」と「会社の経営者」が、同一である会社です。
会社が倒産しても自分が出資した金額までの責任しか負わないことがポイントです。
①合同会社は設立期間が短い
設立期間が早い理由は「定款の承認が不要」であるためです。一方、株式会社は公証役場で承認を受ける必要があります。
合同会社の場合は、法務局で登記申請を行うだけで定款の手続きが完了するため、その分だけ会社設立の期間が短縮できるのです。
②合同会社は費用も安い
合同会社は「登録免許税」も安いため、設立費用に関してもメリットが大きいと言えます。
株式会社と合同会社の、設立費用の違いを表にまとめました。
各形態の設立費用について | 株式会社 | 合同会社 |
定款承認の手数料 | 50,000円 | 0円 |
印紙代(紙提出) | 40,000円 | 40,000円 |
印紙代(電子定款) | 0円 | 0円 |
定款の謄本手数料 | 2,000円 | 2,000円 |
登録免許税 | 最低150,000円 | 最低60,000円 |
合計 | 202,000~242,000円 | 62,000~102,000円 |
上記の表のとおり、合同会社の方が、140,000円ほど節約することができます。株式会社とは、手続き面だけではなく、コスト面でも差が生まれることが分かります。
③合同会社のデメリット
金額面と設立期間では、株式会社よりも優位です、最近では「Google」や「Amazon」が合同会社を立ち上げているため、知名度としても上昇しています。
しかし、まだまだ一般的には「合同会社」という名称に、あまり馴染みがないため「株式会社」と比べると信用度が劣ってしまうのが現状です。
- 株式会社と比べると信用度が低い
- 出資者(経営者)間の意見の食い違いで、経営に影響が出る
- 社員の退社で、資本金が減少のリスクがある
- 上場できない
まとめ
登記申請してから完了までは、提出先の法務局によって待つ期間が異なります。該当する法務局へ、期間も含めて確認してみましょう。
最後に、今回の記事を簡潔にまとめます。
- 事前書類の準備の早さで、設立期間が決まる
- 登記完了が早ければ、その分、早く会社を設立できる
- 合同会社は費用が安く、設立までの期間が短い
- 会社形態ごとにメリット、デメリットがあるので慎重に決めること
他にも、会社設立時には様々な備品等の準備も必要になります。余裕のあるスケジュールを組み、適当に決めることのないようにしましょう。
