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オフィス向け空気清浄機の種類と選び方
春先になるとスギ花粉などが飛散し、花粉症で苦しむ方も多いでしょう。
日本アレルギー協会の調査によると、日本の花粉症有病率は全国平均で約15~16%と言われており、特にスギ花粉の有病率は20%以上とされています(※)。また、近年は中国大陸からの黄砂(pm2.5)飛来の影響によるアレルギー性結膜炎が話題になったり、ウイルス感染症への懸念なども高まっています。
このような環境変化や感染対策への意識の高まりから、今や「空気清浄機」はオフィスに欠かせない機器とされています。
今回の記事では、オフィスで使用可能な空気清浄機について、どのような種類があるのか?や、導入の際の選び方について解説します。
※参考:厚生労働省『花粉症の疫学と治療そしてセルフケア』
オフィスで使える空気清浄機の種類
一括りに「空気清浄機」と呼ばれている機器ですが、搭載されている機能によって、おおよそ4つの種類に分類することができます。
ここでは簡単に「空気清浄機」の種類と期待できる効果について紹介します。
空気清浄機の種類
「空気清浄機」には、空間内の空気を清浄する以外に「加湿」や「消臭」などの機能を搭載した機器があります。市販されている機器を一覧として以下の表にまとめました。
▼空気清浄機の区分と期待できる効果
機器の種類 | 対策 | 期待できる効果 |
---|---|---|
空気清浄機 | 花粉・ハウスダストによるアレルギー対策 | 花粉やほこりなどのアレルギー誘引粒子をフィルターで取り除き、アレルギーの発症を抑えます。 |
pm2.5・pm0.1によるアレルギー対策 | 高密度HEPAフィルターを搭載している機器は、花粉などより粒子の細かい「pm2.5」を除去し、アレルギーの発症を抑えます。 | |
加湿器付き空気清浄機 | インフルエンザ・風邪の予防対策 | 空気清浄の過程で加湿も行い、空間内の湿度を上昇させます。湿度を一定に保てることから、ウイルスや細菌の飛散を防止します。 |
脱臭機能付き空気清浄機 | 消臭対策・浮遊物除去 | イオンやオゾンを発生させ、ニオイの予防や脱臭効果を期待できます。また、浮遊菌やウイルスなどの除去が期待できます。 |
空間洗浄機 | 空間除菌・ウイルス除去 | 次亜塩素酸などを用いて空間の除菌を行います。高い除菌効果によって消臭も行えます。 |
それぞれの種類について、詳しく見てみましょう。
空気清浄機
出典:三菱電機
一般的に「空気清浄機」として認識されているのは、こちらのタイプの機器でしょう。
空気中に飛散・浮遊している花粉やハウスダスト、pm2.5レベルの浮遊物を収集・除去してくれます。
仕組みは非常に簡単で、空間内の空気を吸い込む際に集塵フィルターで浮遊物をろ過し、綺麗な空気を吐き出します(静電気によって集塵するタイプもあります)。
吸引力により適用可能な広さが決まるため、導入検討時はオフィスの広さに合致した機器を導入しましょう。
加湿器付き空気清浄機
出典:シャープ
加湿器付き空気清浄機は、先に紹介した空気清浄機に「加湿器」が組み込まれた機器です。
空気清浄機を稼働させると、機器タンクに注水した水が加湿フィルターによって気化される仕組みで、超音波加湿機などよりも細かな粒子の水分で加湿できるため、機器周辺が濡れてしまうなどの心配がありません。
空気清浄機と加湿器がセットになっているので、導入コストや設置スペースを削減できるという利点がある一方、内部構造がやや複雑で、防カビ・防菌機能がついていない機器の場合は、カビや雑菌の繁殖を助長させてしまうというデメリットがあります。
こまめな除菌や加湿フィルターの交換など、メンテナンスが必要です。
脱臭機能付き空気清浄機
出典:ダイキン
空気清浄機からイオンやオゾンを発生させ、ニオイの原因菌を吸着・分解・除去します。また、ニオイの原因菌だけでなく、花粉や黄砂、さまざまなウイルス・細菌にも一定の効果が期待できます。
これまで紹介した空気清浄機の中では最も多機能で、ほとんどの製品で「加湿」機能も備えています。
空間洗浄機
出典:Panasonic
空間洗浄機は、機器本体から「次亜塩素酸」を放出し、空気中の細菌やウイルスの除去を行います。
今まで紹介した空気清浄機は、あくまでも空気中から花粉や粉じんなどを取り除き、クリアな空気を循環させることをメイン機能としていますが、こちらの空間洗浄機は空気中のウイルス除去や殺菌に特化した機器と言えます。
飛沫感染対策が求められる歯科医院を始め、病院の待合室などで使用されており、風邪やインフルエンザの流行を避けたいオフィス・職場環境にオススメです。
ただし、市販されている空気清浄機とは異なり、メーカーや販売経路が限られている場合が多く、導入方法やランニングコスト等は事前に確認する必要があります。
オフィスで使える空気清浄機の選び方
オフィスに空気清浄機を導入する際は、選び方も重要なポイントの1つです。こちらでは、空気清浄機の選び方として4つのポイントを紹介します。
●空気清浄機を選ぶ際の4つのポイント●
- 使用方法で選ぶ
- メンテナンスのしやすさ
- ランニングコスト
- 適用畳数(てきようたたみすう=最大適用床面積)
特に重要なポイントが4つ目の「適用畳数」です。
それでは、1つずつチェックしていきましょう。
1、使用方法で選ぶ
どのように使用したいのか?を、まずは明確にしましょう。
- 単純にオフィス内の空気をキレイにできれば良い
- 除菌や脱臭もできる方が良い
- ウイルス・細菌の対策を重視したい など
2、メンテナンスのしやすさ
集塵方法の違いや加湿器の有無で、メンテナンスのしやすさが異なります。
- 集塵方法はフィルターなのか?静電気で集塵するタイプなのか?
- 加湿方法は加湿フィルターなのか?防菌作用などはあるのか?
- フィルターの交換方法は簡単か? など
3、ランニングコスト
職場環境や感染症の状況によっては、空気清浄機を1年中使用することも考えられます。
集塵フィルターは消耗品であることが多く、除菌・脱臭用のイオン発生器もメーカーによっては定期交換品です。電気代も重要ですが、これらの交換品を含むランニングコストについても確認しておきましょう。
- 消費電力は省エネ設計か?
- フィルターの交換頻度や価格はどれくらいか?
- イオンやオゾンの発生装置はどれくらいの頻度で交換が必要なのか?
4、適用畳数を確認する
最後に「適用畳数(最大適用床面積)」です。
この適用畳数が低い機器の場合、設置先のオフィスによっては、出力不足となることもあります。メーカーや機器、一般用・業務用などによっても適用畳数は異なるので、事前に必ず確認しましょう。
以下は、市販されている空気清浄機の適用畳数と面積(平米)です。これ以上の広さを有するオフィスの場合は、業務用空気清浄機の設置を検討した方が良いでしょう。
▼適用畳数と面積の目安
- 10畳未満=約18平米未満の室内で使用可能
- 10畳以上=約35平米の広さまで対応可能
- 20畳以上=約53平米の広さまで対応可能
- 30畳以上=約71平米の広さまで対応可能
- 40畳以上=約73平米以上の広さ用
(※「中京間」基準で計算した広さ)
まとめ
今回の記事では、空気清浄機の種類や選び方について解説しました。
最後に、記事のポイントを簡単にまとめます。
- 一般的に空気清浄機と呼ばれている機器には4つのタイプが存在する。
- 1つ目は、単純に空気の入れ替えを行うタイプ。花粉やほこりなどを集め、アレルギー物質を除去する。
- 2つ目は、上記タイプに加湿器が搭載されているもの。加湿も行えるため、インフルエンザや風邪の予防に効果が期待できる。
- 3つ目は、脱臭機能付き空気清浄機。機器本体からイオンやオゾンを発生させ、ニオイの原因菌を除去します。
- 4つ目は、「空間洗浄機」と呼ばれる、除菌・ウイルス除去に特化した機器。主に次亜塩素酸を放出し、空間内のウイルスを除去・殺菌する効果がある。
- オフィスに導入する空気清浄機を選ぶ場合は「使用方法」「メンテナンス性」「ランニングコスト」「適用畳数」を確認すること。
- 市販されている空気清浄機は40畳以上(=約73平米)程度が一般的。それより広いオフィスへの導入を検討する場合は、業務用空気清浄機を検討しよう。
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