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OA機器のレンタル・リース
会社を設立した際は、様々なOA機器を導入しなくてはなりません。しかし、設立直後は資金的な面などで余裕がないことも多く、全てのOA機器を購入して揃えることは難しいでしょう。
一般的な企業では、事務機を扱う販売店から「レンタル」や「リース」などの契約を利用してOA機器を導入します。
この「レンタル」と「リース」は『何かを借りる』という点では同じですが、契約の内容には大きな違いがあり、それぞれメリットとデメリットが存在します。
今回の記事では、OA機器のレンタルとリースに焦点を当て、リースとレンタルの違いなど、契約前に知っておきたい導入方法について解説します。
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【重要】OA機器のレンタルとリースの違いとは?
リースとレンタルは『借りる』という点では同じです。そのため、それぞれの違いを把握することは難しく、あまり理解しないまま契約をしてしまうケースも見受けられます。
最も大きな違いを挙げるとすれば「借りられる期間の違い」でしょう。
少し極端な例になりますが「長期的に使用する機器を借りる契約」=「リース」と覚えておくと分かりやすいかもしれません。
実際に、コピー機やプリンターをはじめとしたOA機器は、長期間にわたって利用することが多いため、一般的には「リース」で契約します。
一方のレンタルは、「日単位」や「月単位」など「比較的短い期間しか使わないものを借りる際の契約」です。
DVDや自動車(社用車ではなく一般的なレンタカー)、自転車、着物など、一般利用者向けの商品で、基本的に期間限定で利用するものは、多くの場合で「レンタル」です。
その他、OA機器におけるリースとレンタルの違いを簡単にまとめてみました。一般的に双方の違いは、以下の表にまとめた8点とされています。
▼OA機器におけるレンタルとリースの違い
リース契約 | レンタル契約 | |
1,契約する相手 | ユーザーと「リース会社」の間で、賃貸借契約を結ぶ | ユーザーと「販売店」または「レンタル会社」の間で、賃貸借契約を結ぶ |
2,機器選択の自由度 | ユーザーが欲しい機器を自由に選ぶことが可能 | 販売店またはレンタル会社の在庫から選ばなくてはならない |
3,機器の状態 | 基本的に新品 ※稀にリースでも中古等の場合がある |
基本的に中古 ※レンタル会社の在庫から選択するため |
4,機種の所有権 | リース会社が所有権を持つ | 販売店またはレンタル会社が所有権を持つ |
5,中途解約の可否 | 原則不可 ※解約料とリース残支払で「可」の場合あり |
可能 ※ただし、解約料が必要な場合が多い |
6,ユーザーが支払う料金 | 選択した機器の価格+リース料率+カウンター料金(カウンター料金は複合機の場合に必要) | 月額レンタル料金 ※レンタル会社によっては月額レンタル料金+カウンター料金(カウンター料金は複合機の場合に必要) |
7,保守 | 別途、保守契約を締結 | レンタル会社に保守義務があるため、 ユーザーは別途の保守契約を必要としない |
8,契約期間満了後の対応 | 返還または再リース | 返還またはレンタル期間の延長 |
これらの違いを踏まえた上で、OA機器のリースとレンタル、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
リース契約のメリット・デメリット
それぞれの契約におけるメリットとデメリットを見てみましょう。
まずは「リース契約」のメリットとデメリットです。
OA機器をリース契約で導入する際のメリットは、一般的に以下の4点とされています。
▼OA機器をリースした場合のメリット
- 様々なメーカーや機種から自由に選定することが可能
- 保険が適用される(火災・落雷・盗難など)
- 契約期間は比較的長めに設定できる
- リース料は「経費処理」できる
自社に最適な製品を自由に選択できることやリース料を経費処理できることは、非常にありがたい点です。
一方で、OA機器をリースした際に生じるデメリットとして、以下の4点が挙げられます。
▼OA機器をリースした場合のデメリット
- 中途解約は原則不可である(契約期間が長い)
- 与信審査が通らないと契約ができない
- コピー機などでは、ランニングコストのカウンター料金が高額となるケースもある
- OA機器本体の代金にリース料率が掛かり、総額では高くなる(※以下に参考値)
起業・開業したばかりの会社にとって最大のデメリットは、与信審査に通りにくい点です。設立したばかりの会社は社会的信用度が低いと判断されるため、審査に通りにくいとされています。
審査に通らなければ、そもそもリース契約を結ぶことができないので、立ち上げたばかりの会社ではリース契約よりレンタル契約になることが多いでしょう。
※一般的なリースの料率※
- 3年(正式には3.5年)リース契約時の料率=3.1~3.2%
- 4年リース契約時の料率=2.5~2.6%
- 5年リース契約時の料率=1.9~2.0%
- 6年リース契約時の料率=1.6~1.7%
- 7年リース契約時の料率=1.3~1.4%
レンタルのメリット・デメリット
次に「レンタル」のメリットとデメリットをお伝えします。OA機器をレンタルした際のメリットには、以下の4点が挙げられます。
▼OA機器をレンタルした場合のメリット
- 短期契約が可能で、万が一「事業を終了」するなどの場合もリスクが小さい
- 導入費用が安価の場合が多い
- 別途、保守契約を結ぶ必要がない
- 審査が不要もしくは本人確認書類などの簡易審査のみ
審査がない点は、レンタルの大きなメリットと言えるでしょう。
また、起業・開業したばかりの会社では事業継続の見通しを行うことが難しい現実があります。万が一、事業が軌道に乗らず終了の選択をした場合でも、リースでは解約不可または莫大な出費(解約料+残リース代)が必要ですが、レンタルは「借りている期間」の費用しか発生しないため、リスクが小さいと言えます。
一方、レンタルにもデメリットは存在します。一般的にはレンタルのデメリットは以下の2点とされています。
▼OA機器をレンタルした場合のデメリット
- 機器は在庫から選ばなくてはならず、自由に選定できない
- 長期的に利用したり、大量の消耗品を使用すると割高になる場合がある
レンタル会社が抱えているラインアップ(在庫)から、導入したい機器を選ぶことになるため、自由に機器を選択することができません。また、コピー機やプリンターなどのOA機器の場合、トナーなどの消耗品を大量に使用すると、想定よりも割高になってしまうケースもあります。
【リース・レンタル】OA機器はどこで借りられるのか?
OA機器をリースやレンタルで導入する場合は、事務機器・OA機器を扱う「販売店」に依頼すると良いでしょう。
様々な「販売店」が、コピー機やパソコンをはじめとするOA機器全般を取り扱っています。全国対応の大手の販売店ともなれば、レンタルとリース、それぞれの導入方法を比較・検討できるように提案してくれることもあり、ユーザー毎に最適な導入方法が分かります。
ただし、全ての「販売店」がそのような柔軟な対応をしてくれるか?と言えば、残念ながら「販売店によりけり」の場合も多く、「販売店」によっては提案力や知識が乏しかったり、価格が高かったり…と、必ずしも万全な対応をしてくれるわけではありません。
必ず複数社から見積もりを取り、販売店の対応力や提案された機器のスペック・価格などを比較・検討することが重要です。
また、導入するOA機器によって契約先の「販売店」を分けるのではなく、なるべく「契約先はまとめておいた方が良い」でしょう。
導入するOA機器ごとに「販売店」が分かれてしまうと、問い合わせの窓口や経費処理もバラバラになってしまい、業務効率の面や経理担当者の負担を考えると望ましい状況とは言えないからです。
まとめ
本記事では、契約前に知っておきたいOA機器の「レンタル」と「リース」の違いについて説明しました。まとめると以下の通りです。
- レンタルとリースでは、契約形態が異なる。大きな違いの一つは、借りられる「期間」
- リースのメリットは、OA機器を自由に選べる点やリース料を経費処理できる点
- リースのデメリットは、中途解約が不可である点や審査が必要な点
- レンタルのメリットは、審査がなく、低リスクで導入できる点
- レンタルのデメリットは、中古の製品から選ばなくてはならず、長期・大量使用時に高くなってしまいがち
- 一般的な企業では、OA機器はリース契約
- 開業・起業したばかりの企業では、OA機器をレンタルで契約した方が安全
- OA機器をレンタル・リースで導入する場合は、複数の販売店に相見積もりを取ると良い